2008年12月04日

モノクロセンサーの夢

DP1で撮っているとたしかに解像感のシャープさは普通のデジタルカメラとは一味違います。
フォビオンのようなシャープな画像を普通のセンサーで得るもっとも単純な方法はカラーフィルタを取りさることです。
これによってベイヤー方式やデモザイク処理の呪縛から逃れることができます。偽色が出ないことでローパスを取っても影響はあまり大きく出ません(デジタルである限りはローパス不要というわけではありませんが、この辺はとりあえず置いておきます)。
とはいえCCDというのは基本的に光の強弱しか検知できません。普通のデジタルカメラでもCCDで色を検知しているわけではなく、カラーフィルターのRGBに対応するピクセルのところの強弱を対応する色情報として読み換えているだけです。そのためカラーフィルタを取ると色の記録ができないのでモノクロ専用となります。
ただし解像感はまさにフォビオン並です。またフォビオンのような特殊構造ではないですし、選択的に光を取り入れるカラーフィルタがないので光をすべて取り入れることができるようになります。そのためノイズ面やダイナミックレンジでも期待ができます。


実際にこうしたモノクロセンサーのアプローチをしたカメラがあります。
一般に知られているものは2001年ころ出たKODAKのDCS 760mです。こちらにKODAKの製品ページがあります
DCS760mは同時期に発売されていたKODAKのデジタル一眼レフであるDCS760(Fマウント)のモノクロ版とも言えます。ローパスとカラーフィルタはありませんが、赤外線フィルタは取り外し可能なものが装着されています。
DCS760mについてはこちらのLuminousのサイトにPete Meyersという写真家のサンプル写真も含めて詳細なレビューが乗っています。
http://www.luminous-landscape.com/reviews/cameras/kodak-760m.shtml
ベースモデルのDCS 760と違ってCCD自体は基本的に同じでもISO400が標準感度となりますが、カラーフィルタを取ることでそれだけ光が効率よく入るということなのかもしれません。

モノクロ専用の特殊なカメラといっても760mが突然現れたわけではなく、760以前にもKODAKは420mや660mなどこうしたアプローチのカメラを製作していたようです。それは軍用・科学技術用や(特に欧州の)プレス向けとしてモノクロデジタルカメラの需要があったからのようです。科学技術目的に有利なのはカラーフィルターを取ることのもう一つの利点として、赤外・紫外領域を含めてより広い波長の光を取りこむことができるからです。Meyersさんも言っていますが、これはファインアート分野に応用することもできます。
Meyersさんによると初代のモノクロデジタルカメラ、420mは90年代の中頃に150万画素の量子化8bitで登場したそうですが、センサーサイズも小さかったため風景写真家としては使い物にならなかったと言うことです。それが600万画素の460mになり、660mになり、そして760mとして進化したということです。
760mはNIKON F5ベースのDCS 760と同じボディを流用しています。ぐっとくるのは液晶表示にゾーンシステムのゾーンスケールを使ったヒストグラムが表示されるということです。この辺はモノクロ専用モデルとしての特徴的なものですね。
ただしCCDから単にカラーフィルタを取ればモノクロデジタルになるかというとそう簡単ではないというのが、上の記事にも書かれています。たとえば測光するのにもカラーCCD用に考えられたメーターが正しくないので、最終的にはメーターは参考程度にしてマニュアル露出で撮っていたということです。

画質は予想通り驚くほどのもので、こちらに等倍も含めたもっと大きなサンプルが載っています。

http://diglloyd.com/diglloyd/free/Monochrome/images/RaneysRanch.html

http://diglloyd.com/diglloyd/free/Monochrome/myers1.html

実際カラーフィルタを取ることでどのくらいの解像力の向上があるかというと、こちらにカラー画像とカラー画像をモノクロ化したものと、カラーフィルタのないモノクロセンサーで撮ったものを比較したサンプルがあります。
中画像がカラーからのモノクロ処理で下がモノクロセンサーによるものです。

http://diglloyd.com/diglloyd/2007-07-blog.html#20070727Monochrome_vs_Color

6ポイントの小さな文字を見てもらうと差は歴然としていると思います。また、記事の中ではシャープをかけたり再サンプリングをしたり画像処理するときにもモノクロセンサーの画像はアーチファクトが少なく有利であると書いています。

以前Myersさんのホームページにもっとたくさんのサンプルが載っていたと思いましたが、それはたしかに素晴らしい画像でした。760mはわずか80台程度が販売されたようですが、かなりレアなカメラです。わたしもほしいと思って探していたのですが、もともと100万円近くするカメラです。一度ebayに出たことがあるのですがやはりとても手の届かない価格だったと思いました。


しかし、今こうしたモノクロ専用のデジタルカメラが欲しいという人には別の選択肢があります。
さきにあげたこちらのサイトを管理している人がリードを取ってPhaseOneのデジタルバックでP20+というモノクロセンサーモデルを受注生産してもらおうというプロジェクトを昨年くらいに立てていたようですが、いまは3900万画素のP45+でBear ImagesのJim Taskettという人がそれを行っているようです。マウントはいかようにもできるようです。
たしか今月くらいにそのファーストバッチが出てくると思いましたので、こちらのサイトをウォッチしていても面白いかもしれません。興味のある方は問い合わせてみるのもよいでしょう。ただし価格は。。。US$36000(3年間保証付き)ということです。
とはいえ文化財アーカイブ用などのマルチショットタイプはともかく、普通に使えるワンショットタイプのデジタルでは比類なき画質を得ることができるでしょう。

もう少し現実的には先月号のカメラ雑誌でライカがモノクロデジタルカメラを研究中であると書かれていたようですが、これも楽しみです。
上記記事のコメントの中では1600万画素のモノクロセンサーがあれば4000万画素程度のカラーセンサーに匹敵するだろうとありますが、ライカがここで圧倒的な差をつけておくにはS2よりもむしろこうしたニッチなところを狙った方が良いようにも思えます。
わたしもライカMのレンズはほとんど売ってしまったんですが、モノクロ版のM8mなんかが出るとさすがに自制心を失うかも(^^
posted by ささき at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ カメラ・レンズなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック