2006年02月06日

PTLens -- 収差の電子的除去ツール

写真にはレンズの光学的な問題によりさまざまな収差と呼ばれる歪みや画質低下が生じます。
それを減らすために高価な硝材を使用したLレンズなどはかなり高価なものです。他方でデジタルカメラでは画像はPCのデータですから、電子的にそれを補正すればよいという考えがあります。
PTLensはそうした電子的に画像の収差を補正するツールです。
ホームページはこちらです。
http://epaperpress.com/ptlens/

収差や収差に似た光学上の問題にはさまざまな種類がありますが、PTLensで補正できる収差は歪曲収差・色収差・周辺減光となります。また魚眼の補正も行えます。(パースの補正はできません)
なかでもメインは歪曲収差の補正といえるでしょう。フォトショップでもむかしから歪曲収差の補正はされてきましたが、手作業で画像毎にグリッドやレイヤーなどで調整するなどなかなか大変であったと思います。
PTLensの特徴はあらかじめカメラとレンズの修正量のデータベースが用意されていて、ほぼ自動的に収差補正ができてしまうというところです。補正すべき量は画像のEXIF情報からレンズの種類で判断すれば良いわけです。
これは便利でたいていの場合はボタンクリック一発でかなり正確に補正できます。またデジタル一眼レフだけでなく、コンパクトタイプのデジカメもサポートされています。(一枚の処理はだいたい4〜5秒くらいです)

下記の例ではズームのテレ端ですが糸巻き型の収差が出ているのが分かると思います。また右側の高コントラストの部分に色収差のフリンジも出ています。それを補正した実例も後でアップします。

ptlens1.jpg

このデータベースはかなり膨大な量でよく使われるカメラとレンズの組み合わせをだいたいカバーしています。
サポートされている種類は上のホームページのProfiles欄をクリックすると分かります。FoxedがコンパクトでInterchangeがレンズ交換式(一眼レフ)です。
Canon, Nikon, Konica Minolta, Olympus, Pentax, Sigma, Contax, Leicaなどの各種デジタル一眼とコンパクト、さらに普及ズームから高級レンズ、シグマなどのサードパーティーレンズまでかなり豊富です。各種補正用データは専用のキャリブレーションチャートを使って製作されます。

似たようなコンセプトのツールにはDxOのOptics Engineがありますが、それとの比較を行ったレビューが下記のDPReviewにあります。これをみるになかなかPTLensは優秀なようです。
http://www.dpreview.com/reviews/dxoopticspro/page3.asp

他には周辺減光を補正したり、色収差のフリンジを除去することができます。こちらはスライダーを使用して補正します。また魚眼レンズを超広角のように使えるよう歪みを正す機能も付いています。
ファイルを複数選択することで、まとめてバッチ処理(一括連続処理)を行うこともできますので大量処理にも向いています。
またプラグイン版がついているのでフォトショップで使うこともできます。プラグインでは16bitを扱うこともできるようです。

もう一つ良い点として、PTLensはNeatImageのようにフリーで使い始めることができます。実際はシェアウエアで、入金しないと修正前に10秒のダミー待ちがかかりますが試すには十分使えます。ダミー待ちは$5,$10,$20のいずれかを払うことで解除できます(PayPalが必要)。何ドル払うかは気持ちとのことです。この辺のコストの安さもいいですね。

というわけで、なかなか良さそうなので私は画面の翻訳で協力しました(^.^
そのためVer6.5.1からは日本語が表示できるようになりました。ファイル名なども日本語が通るようです。
UIの翻訳でむずかしいのは文字列だけ見てもどこに表示されるかよく分からないところです。作者に聞きながらはやったのですが特にエラーなんかは表示確認できないものもあるので、つかってておかしな訳や文字ずれがあればお知らせください。
いまのところ焦点距離のactualを実効値と訳したのは直そうかと思ってます。
*日本語が表示できるのはいまのところXPだけです

クイックスタートも作成しましたので、あとでアップロードします。
posted by ささき at 23:44| Comment(3) | TrackBack(0) | __→ PTLens (電子的収差除去) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ささきさん、皆さん、こんにちは。
MiMoFaです。
デジタルならではのソフトで、しかも各社対応しているのですね。銀塩時代の引き延ばしや現像テクニックに相当するところの厚みと広がりがここに来てだんだん広がってきましたね。
しかも、シェアウェアで廉価に提供してもらえるとは。
プロ用暗室ツールも専用ソフトが出てきていますし、今年は本当の新旧逆転、デジタル写真の年という気がします。
では、失礼します。
Posted by MiMoFa at 2006年02月08日 09:35
こうしたアプローチで思うのは、もし歪曲補正をソフト的にやるのが前提であれば、レンズの方は光学的にあまりシビアに歪曲を撮らなくていいのではないか、ということです。
そうすればレンズの設計が少し楽になる分でほかの収差補整に回せると思います。
これはコンパクトではすでに取られているものもあるようですが、一眼レフだとまずファインダーで見る時に歪むのでこまります。ただしインカメラの回路で補正してEVFで見るならどうでしょうか?
こういうのはまだまだ先のことでしょうが、デジタル化というのは単にフィルムがCFメモリに変わっただけ、というのではないのだと思います。
Posted by ささき at 2006年02月08日 14:37
素晴らしいソフトですね。ありがたく使わせていただきます。
Posted by arata at 2010年01月05日 23:43
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