2010年12月14日

本に表紙を使ってもらいました

私は曲技飛行の写真を撮っていますが、こちらの単行本「奇跡の生還を科学する」(ジェフワイズ著)という本の表紙に写真を採用してもらいました。12/8に出た新刊です。
サンプルの本を贈ってもらいましたが、できてみるとなかなかかっこよいデザインとなっています。元の写真は右の茂木の2007年度大会で撮ったものです。

51ATCJAr-VL__SS400_.jpg     9848.jpg

本の内容もとても面白く、実際にサンプル本をもらって読み始めたらまじめに面白いので読みふけってしまいました。
この本は実際にあるパイロットが曲技飛行の練習中に片翼が折れ、エンジンが止まるという極限状態から奇跡的に生還したと言う事例を挙げ、どうしてこんな極限状態で冷静な判断ができたのか、というところから始まります。

まず恐怖とは何か、ということについて科学的に分析していきます。ここではさまざまな大学や研究機関の行った心理的な実験、たとえばスカイダイビングを初めてやる人に心拍系をつけてみるとか、少し昔の倫理規定が甘いときにやった今なら許されない興味深い実験まで紹介して、極限状態のときに人はどうなるのか、ということを心理分析やホルモンの分泌、fMRIという解析機を駆使したデータまで使用して科学的に解明していきます。
人には反応が遅いが理性的な新しい脳の部分と反応は早いが機械的な対応しかできない古い脳の部分があって、極限状態に陥ると状況に応じてスイッチがはいったり、どちらかが抑制されたりするそうです。またあるレベルのストレスまでは感覚を研ぎ澄まし事態を避けようとするけど、恐怖が増大してもう絶対避けられなくなると命を守るために防衛モードになり逆に鈍くなることが語られます。
これを読むと飛行機に乗ったときにまず「安全のしおり」を読んでおこうという気になります。なぜかというと「いざという時に読めば良いだろう」という、いざという時に脳は極限状態モードにはいるので本を読むなんていう所にエネルギーが回されないからです。(実際にこうしたしおりを読む人の事故のときの生存率は有意に高いそうですので念のため)

次になぜ人は恐怖に陥るのか、パニックに陥るのか、そもそも恐怖の役割とは何か、というところに言及します。
ここではさきの極限状態のほかに対人恐怖症のようなものも取り上げられ、恐怖やプレッシャーとはなにかについて語られます。
この本の面白いところはピューマに襲われた人が、すくみ、逃げ、立ち向かうまでの実例を心理的な考察と描いたり、あのハドソン川の奇跡の機長の体験まで、実に豊富で多彩な実例が取り上げられていることです。それぞれが緊張感にあふれる局面なのであきません。また、筆者はポピュラーサイエンスとかナショナルジオグラフィックなどに書くライターで、中身は科学的分析だけど研究者ではなくライターの書いたものなので文章として読みやすく面白く書かれています。

そして最後の章では、それでは恐怖を克服するには、というところに言及します。
はじめのパイロットの超人的な例が再び解説されますが、それでは普通の人間はどうなのだろうと考えさせられますが、同時に7000もの人が一日にして戦死した南北戦争の激戦の例が挙げられると恐怖に勝つということの怖さもまた考えさせられます。そして本当の勇気とはなにか、というところまでうまくまとめられ、最後まで読ませてくれます。

なかなか面白い本、すばらしい表紙ですのでぜひ手にとって見てください。

posted by ささき at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック